シートベルトと言えば、今や法律で義務付けられており、違反すれば罰金がかせられる。このことは、みなさん承知のことですが、実際にどのくらいの効果があるかは、ご存じない方も多いのではないでしょうか。そこで、ここでは経験から着用していたときと、着用していなかったときの出来事を紹介していきましょう。
（非着用時のできごと）
これは、今から３０年くらい前のことです。まだ、小学生だった頃、親戚のおじさんの助手席に乗せてもらって、お出かけをしていたときです。市街地で、ちょっと見通しの悪い細い交差点に、おじさんが３０〜４０ｋｍ／ｈ位で入っていこうとすると、急に左側から車がやってきたのです。おじさんは、びっくりして急ブレーキを踏みました。シートベルトはしてなかったので、体が前に飛んでいき、フロントガラスにおでこの当たりから突っ込んでいったのです。あっという間の出来事で、手を出すこともできず、まともにいきました。運転席にいたおじさんが左腕を差し出して、僕の体を止めようとしたと思うのですが、そんなことは何の効果もありませんでした。フロントガラスは、蜘蛛の巣状にビシビシにひびが入り、まるで人をはねたような有様です。痛くて痛くて、我慢をしていても、自然に涙が出てきてしまいます。すぐに病院に行って、検査をしてもらいましたが、幸いにして異常はありませんでした。
（着用時のできごと）
これは、廃車になった車たちの「スターレット（ＦＲ）３ドア」のできごとが、あてはまります。屋根にしわが寄り、左前がぐしゃぐしゃになって、眼鏡が飛んでいったにもかかわらず、怪我一つしなかったのは、シートベルトのおかげでした。
自分だけは事故をしない、自分はそんな危ない運転はしないから、と考えることもできますが、でも、相手が事故のきっかけを作ってくることもあるのです。こんなときに「自分は悪くない。」と言ってみたところで、痛い目を見ることには違いありません。
それなら、事故になったときに、自分自身を守る手段として、できることはやっておくのが得策ではないかと思うのです。
高速道路を走るときには、後ろに乗っている人にも、必ず、シートベルトをしてもらうようにしています。
高速を走っていて事故に遭うと、一般道路とは比較にならないくらいのダメージを受けますから。やはり、運転手としては、乗員の命を預かっていると言うことで、怪我をさせない努力をしなくてはと思うのです。以前なら、「シートベルトして。」と声をかけるのは、ちょっと気が退けたのですが、今なら「シートベルト、してくれる？ 事故ったときに、怖いから。」と言えます。ときどき、「そんなに飛ばすのか？」と言ってくる人もいますが、そんなときは「いやいや、こっちが気を付けていても、相手から来ることがあるからね。」と言います。そうすると、だいたい付けてくれます。
シートベルトは、乗員の命を守るために、積極的に着けましょう。体が固定されて運転もしやすいですよ。