バイパスを走っていると、トラックにはよく出くわす。交差点が遙か先にあって、その信号が赤になったとき、トラックは妙にゆっくりと走っていく。これを見て、「停止線まではまだ距離がある。前に入ってしまおう。」と行動を起こすのは、ちょっと危険である。積み荷をいっぱいにしたトラックは、意外に止まれないのだ。
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バイパスの脇にある店に寄って用を済ませた後、家に帰ろうと思って、バイパスに進入したときのことである。右からトラックが来ていたのは知っていたので、「進入したら、強めの加速をしよう。」と思いながら進入した。しかし、この日乗っていたのは、ディーラーから借りた代車。自分の車と違って、アクセルを思いっきり踏んでも、全然加速しない。これには、びっくりしたが、もう遅い。後ろからは、トラックのクラクションがガンガン鳴り響く。でも、どうしようもない。心の中でトラックに詫びながら、しばらく走っていった。迷惑をかけたことには違いないので、しかたないなあと思っていたのである。トラックは、車線を一つ右側に寄って、ずっと走ってきていたようであった。このあと、信じられないことを、このトラックはしたのである。 |
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よほど、腹が立っていたのだろう。こともあろうに、停止線で止まっている自分の車の前に、大きな巨体をかぶせてきたのである。さすがに自分でも悪いとは思いながら、ここまでされると、ムカッとくる。が、しかし、ここは大人。ムカムカながら、動向を見守っていると、トラックはそのまま左の車線をまっすぐに走っていったのである。ここまで嫌がらせをするなんて、このトラックのにいちゃん（？）は、よっぽど腹が立ったのだろうと推測する。それというのも、自分が無理な進入をしたのが原因であるが、よほど危なかったのではないかと思う。きっと、前述の「トラックは、急には止まれない。」ところに、自分の車が割り込んできたから、相当びっくりしたのではないかなあと、冷静になって考えた。それほどまでに、トラックは止まれないのである。 |
弟から、こんな話を聞いたこともある。やはり、先の交差点が赤になった場面だ。トラックが速度を落としながら走っていくと、右側の車線からスポーツカーが割り込んできた。トラックは、急ブレーキを踏み、すべてのタイヤから白煙をもうもうと上げながら、３０ｍほど滑っていったというのである。どうにか、スポーツカーにはぶつからずに止まることはできたようだが、さぞやトラックの運転手はびっくりしただろう。
また、弟がトラックの助手席に乗せてもらった話も聞いた。そのとき、運転手はブレーキを思いっきり踏みながら、「ほら、全然効かないだろう。」と笑っていたというのだ。これらのことから、トラックの前に出ることは、いかに無謀なことかがわかる。
トラックは、別物の車だと思って、決して前には割り込まないようにしよう。それは、自殺行為です。